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シート高についての私論


はじめに

 ヨーロッパ向けのスクーターはシート高が日本向けに比べて高い物が多いです。それを理由に購入をためらっている方も居るかもしれません。実際にRunnerを所有して乗ってみた体験を元に本当にそれが欠点だけなのか少し考えてみましょう。
 ジレラ・ランナーのシート高は815mm有ります。身長175cmの筆者でも一番前方に座らないと両足の踵は浮きます。いわゆる足着き性が悪いという事になります。止まっている状態や歩く程の極低速時等には確かに足着き性は良いに越したことは有りません。しかし、こういった状況は実際にスクーターに乗っている時間の中ではごく僅かです。一旦走り出してしまえばモトクロスでは無いですから次に止まるまで足は着きませんね。

利点

 高いシート高には利点も有ります。ステップも高く出来る事から、バンク角を稼いだり、サスペンションストロークも大きく取りやすくなります。そして私が一番の利点だと思うのが視点の高さです。混合交通である公道上では少しでも先の状況が読める方が運転しやすくなります。物理的に視点の位置が高くなると視界が広がります。通常の乗用車のルーフ越しに先が見えます。これが、足付き性を重視した通常のシート高だと見え易さが違ってきます。自動車でも通常のセダンよりバンやトラック等の運転席の高い方が先まで視界が有り、随分違うのは経験した方も多いでしょう。
 こういった視点の高さから来る視界の良さはチョイ乗りではともかく、中〜長距離時のライディングでの疲労が違ってきます。実際に同じ距離をJoker90やJOG90で行くのとRunnerで行くのでは随分違い、疲れません。また、様々な危険回避にも視界の良い方が役立つ事と思います。

その他に

 その他に足着き性以外の欠点(特徴?)も有ります。それは通常のシート高に比べて体感速度を低く感じるという事です。同じ道を60km/hで走っていても、シート高の高い場合にはそれ程スピードが出ている感じがしません。地上に視点が近い程同じスピードでもスピード感が有るのと反対ですね。もっとも、これは日本車とヨーロッパ車のメーター誤差の問題も有るかもしれません。

違いはどこから来たのか

 この様にシート高が高いというのはただ欠点ではなく大きな利点も含まれています。停止時の安定性や極低速時の取り回しを重視するか、実際に乗って走っている状態を重視するのかという設計思想の違いとも言えます。
 普段乗るのが渋滞中心だとかいうのならシート高が低い方が良いでしょうが、流れている中や空いている道を軽やかに走るのが中心ならばシート高が高いのは利点になります。もしかすると日本とヨーロッパでの道路交通事情の差から来ているのかもしれません。 二昔以上前には、外車のシートが高いのは欧米人の体格が良いからだとか日本人は胴長短足だからシート高が低い等と言われてましたが、現在の日本人は体格も良くなっており、バイク・スクーターの主なユーザ年齢ではヨーロッパの方々とそれ程違いは有りません。それなのに日本国内向けとヨーロッパ向けでこれだけシート高に差が有るというのは日本のバイクマスコミがシート高が高いのを一方的に欠点として挙げてきたせいも有るのでは無いかと考えられます。

まとめ

 実際には両足つま先が着く状態であれば少し傾けてやれば片足は踵までべったり着きます。Runnnerの様に軽量な車体なら少し傾けても立て直しは容易です。但し、平地で跨って両足つま先も着かない場合は停車する度にシートから腰をずらしてやらないと踵まで接地しない可能性も有ります。その場合は少し考えた方がよろしいかと思います。歩道の有る交差点ならば歩道上に左足を出すことで緩和されます。この辺りは実際に跨ってみれば判りますから、ヨーロッパ向けスクーターの購入をお考えの方は是非事前に跨ってみる事をお勧めします。そして、両足つま先が着けばシート高を理由に買うのを諦めないでの購入をお勧めします。


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